グランドデザイン-1-


はじめに・・・『市民参加のまちづくり第2章』

 

小名浜まちづくり市民会議は、「港とまちを結ぶまちづくり」をテーマに、平成12年12月に各種団体や企業、市民のまちづくりに対するベクトルを結集し組織しました。当初の主な活動は、「楽しく」・「具体的に」・「できることから」・「お金をかけずに知恵を出す」・「情報の共有化を図る」の5つをモットーに、多くの市民が参加するワークシップにより、まちの将来像を考えるためのグランドデザインづくりを行って来ました。またその一方で、すぐに取り組むべき事業として、13のプロジェクトを立上げ、効果的なソフト事業を展開してきたことにより、小名浜スタンプクラブの事業化やまちなかコンサートの定着、まちなか案内人事業などが充実されることとなりました。

 

他方、まちづくりにおいて重要な観点でもある市民と行政との共同作業の形についても、市民会議は様々な形を模索し続けることとなりました。その最初のアクションが小名浜港1・2号埠頭広場「愛称;アクアマリンパーク」の管理運営事業です。市民が港との関りを深めることで、アンタッチャブルであった港湾区域を市民に拓かれた憩いや賑わい空間として、また地域資源として活用して行きたいとの永年に渡るチャレンジから、平成13年7月に県との間に管理運営協定締結し、市民団体がソフト的な管理運営を行うといった新しい試みがスタートしました。この仕掛けにより、年間200万人を超える観光客が訪れるアクアマリンパークにおいて、定期的にフリーマーケットが開催されるなど、様々なソフト的な組み合わせが可能となりました。

 

2つめには、小名浜固有のテーマでもある港との関りの新しい形です。市民会議のまちづくり活動への多くの市民への理解や、行政と市民がまちづくりの知識を共有することで、港まちづくりの新しい1歩を踏み出すべく、80名余の市民が参加する市民教養講座として、港の成り立ちや利活用、小名浜の歴史文化、ウォーターフロント開発など様々な港を切口として分野を学ぶ「小名浜港まち大学」を平成14年9月に開校することとなりました。この試みには国土交通省に大いなるご理解とご協力いただき、国・県・市・市民会議の4者が共同歩調による大学の企画運営を行うといったスタイルで、第1期生を迎えることとなりました。

 

更に、3つめのアクションとしては、我々がまとめたグランドデザインを、単に市民団体の構想に留め置くことなく、市民の手によるまちづくりの成果として形にして行くため、平成14年度いわき市との「まちづくりパートナーシップ協定」を締結し、共同歩調によるまちづくり活動を展開することとなりました。この協定は、都市計画マスタープラン地区まちづくり計画の策定に伴い、行政と市民との共同作業を展開するもので、いわき市にとっても市民会議にとっても、新しいチャレンジになりました。計画の策定に当たり市民会議のスタンスとしては、機能論から構成されるグランドデザインを、より個別具体的な計画へと練り上げると共に、それぞれが実現へ向けた作業のステップとなるための「アクションプログラム」として構成しようというものです。ここでまとめた計画を行政計画へと反映し、市民が考えてきたまちづくりが1つでも形になるための作業をして行こうという試みではありますが、行政と市民サイドでも、全く新しい取組みであることから、作業はすべて手探りであり、試行錯誤の連続でありました。

 

今回のこの報告書は、このような企てからまとめてきたアクションプログラムですが、その構成としては、グランドデザインで示された13のゾーンを、港湾背後地・緑の大通り・まちなか商店街・横町及び支所周辺・小名川古湊の6つのエリアに分類し、港とまちを複合的にあるいは総括的に捉え、それぞれの個別具体な機能とイメージを提案しています。まず全体的な整備や利活用のイメージ、第2にハード整備へ向けた年次計画と役割分担、そして我々市民が様々な形を模索し、また汗をかくなど、まちを変えて行くためのソフト的な仕掛けづくりに区分けされています。 この計画の実現へ向けては、市民運動として既に動き出しているプログラムもありますが、実際には、平成15年度に市民会議の事業組織をアクションプログラムの実現のための組織へと再編成し、実現へと進んで行くこととなります。市民会議もボランティア団体から、責任ある戦略的まちづくり団体へと成長を遂げる時期が来ているとの認識を持ち、60を数えるプログラムの中で1つでも目に見える形のまちづくりに向けて邁進して行きたいと考えています。

 

「市民と行政との共同作業によるまちづくり」。その形はそのまちとそこに住む人によって形は様々であり、答えはなかなか出てこない事業であるかもしれません。しかし、市民会議の活動を通して、市民の皆様と手を取り、この壮大な企てへのチャレンジを続けて行きたいと考えております。

 

市民会議のキャッチコピーでもある「“港・人・まち”つなぐ小名浜の夢・・・」の実現へ向けて。

 

平成15年3月

小名浜まちづくり市民会議
会長  里 見 潤


グランドデザイン概要 INDEX

 

はじめに・・・『市民参加のまちづくり第2章』
まちづくり基本計画の構成
まちづくりの基本コンセプト
アクションプログラムの実現へ向けて・・・
パートナーシップと活動の協力