グランドデザイン-2-


まちづくり基本計画の構成

 

(1) グランドデザインづくり


小名浜まちづくり市民会議では、初年度である平成13年度の作業として、生活者の視点立ち「自分達の住むまちを自分達で考えよう!」をスローガンに、将来のまちづくりの指針とすべき港とまちのデザインを民間ベースで考えてきた。

 

その手法としては、単に1市民団体の構想を一部の市民がまとめたというものではなく、多くの市民の方々への呼び掛けを行い、参加者が様々な角度から、少人数のグループに分かれ、議論を繰り返し行う市民参加型のワークシッョプを用いることによりまとめ上げてきた。

 

このグランドデザインは、気になるポイントやまちの史跡等を巡るまち歩き、港からまちを見るといった視察会を通して、小名浜らしさや現状での課題の抽出などの検証を行ったことにより、「まちの機能性を重視した港湾背後地の有効利用」、「現在の集客装置であるアクアマリンパークを活かしつつ、更なる回遊性アップと市内への誘導」、「まちのイメージとシンボルづくり」、「まちの歴史資産を活かし集客装置」、「21世紀型湊町としての在り方を具現化した集客装置」の5つまちづくりの目的を確認するに至った。

 

更に、この目的を踏まえ、小名浜の将来像として相応しい港とまちの機能を十分に掘り下げた結果、まちづくりのコンセプトとして「懐かしくて新しいアジアと出会う港町」と定め、文化・情報・人情・二面性などのキーワードから「ほっとポート・小名浜」という熱き心と癒しを切口としてテーマを掲げた。

 

このようなことから、港とまちを13のゾーンに分け、それぞれの機能を突き詰めたゾーニングによるまちづくり基礎となる構想として「港まちおなはまのグランドデザイン」を描いた。次により、グランドデザイン13のゾーンの整備ゾーンと個別テーマを紹介する。

 

◆ 港まち小名浜のグランドデザイン《整備ゾーンと個別テーマ》


― 港湾背後地 ―

 

テーマ:港町発海と人の情報の発信&交流拠点「小名浜シティサービスセンター(仮)」の建設

  • 行政機能の集約、人と情報の集まるコミュニティ機能、新たな嗜好の商業集積、総合的な交通ターミナル機能

― まちなか商店街 ―

 

テーマ:生活と密着した“あったかくて懐かしい、普段着の商店街”

 

  • 最寄り商店街としての集約、新たな歩行空間の提案、商住一体型居住地の整備

 

― 緑の大通り ―

 

テーマ:小名浜のシンボルとなる表通り“(仮称)緑のシャンゼリゼ”

 

  • 街のシンボルとしてふさわしい大通り整備、まちなかとは性格のちがう商業集積、道路沿線にも影響ある規制でシンボル性を強化、横町地区との回遊性・連携強化

 

― 小名川 ―

 

テーマ:親水性を重視したまちなか回遊路としての水路整備

 

  • 外環道路の整備、遊べる歩道づくり、古湊地区への導線整備、親水性のUPと水質浄化の促進

 

― 竹町・横町地区繁華街 ―

 

 

テーマ:港とつながる味のまちなみ

 

 

  • 港町小名浜らしい活気ある賑わい空間づくり、裏路地文化の拠点づくり

 

― リスポ周辺・横町公園 ―

 

 

テーマ:市街地の生活を支える癒しのケア&エデュケーション中心核

 

 

  • 生活者や高齢者に配慮した機能の充実、教育施設の充実

 

― 古湊地区 ―

 

 

テーマ:歴史を感じる散策路

 

 

  • 富ヶ浦公園の整備、史跡や公園を巡る散策路、小名川とのアクセス

 

― 小名浜港エリア(1号~2号埠頭地区) ―

 

 

テーマ:人と海とが出会い楽しむ、アミューズメント性豊かな賑わいづくり

 

 

  • 滞在機能を有した港の賑わいあふれる食の会堂(1号埠頭地区)、水とふれあうアミューズメント施設(2号埠頭地区)

 

― アクアマリンパーク ―

テーマ:海と親しむ公園として市民憩いの広場機能を充実

 

 

  • 全天候型イベント広場の設置、背後地とのアクセス性を充実、まちなか案内所整備、光のプロムナードの設置

 

― 3号埠頭地区 ―

 

 

テーマ:国際港としての小名浜港

 

 

  • 防災機能の充実・緊急時の対応が可能な防災埠頭

 

― 魚市場~三崎公園地区 ―

 

 

テーマ:港と連携した21世紀型漁業

 

 

  • 漁業とまちと人を結ぶ景観地区

 

― 公民館・市民会館地区 ―

 

 

テーマ:“日本で一番住みやすいまちづくり”に向けた拠点機能集約に際しての原資的土地利用(タネ地)

 

 

  • 拠点機能集約に対する代替地

 

― まちなか居住地(全域) ―

 

 

テーマ:21世紀型まちなか居住スタイルの新たな提案

 

 

  • 今住んでいる人たちが、最も快適な空間づくりへ、高齢者対策の強化、商住一体型住居の促進

 

(2) 実現へ向けた基本計画アクションプログラムづくり


13年度とりまとめを行った、「港まちおなはまのグランドデザイン」の策定に当たっては、現在小名浜に係る行政の計画等を十分に調査し、それらを踏まえ策定を進めてきた。

 

しかし、この段階では、市民団体が独自に描いた構想にしかすぎなかったことから、小名浜のまちづくりの体系を決めていく指針として行くため、また、市民と行政との共同作業によるまちづくりの新しい形づくりを模索するため、市民会議と市関係部局との間で、いわき市での「まちづくりにおけるパートナーシップとは・・・」について、再三に渡る協議と働きかけを繰り返してきた。

 

その結果、平成19年度策定となる「都市計画マスタープラン地区まちづくり計画」への意見反映を前提に、市民と行政の共同作業によるまちづくり計画づくりの作業として、いわき市と市民会議の間に、「まちづくりパートナーシップ協定」を締結し、小名浜のまちの将来像と港とまち全体を捉えた都市の体系作りを行うこととなった。

 

この全国的に新しい取組みでもあるパートナーシップ協定による作業は、グランドデザインで提案した13のゾーンとその機能について、より個別具体的に掘り下げて行くため、「港湾背後地」、「緑の大通り」、「まちなか商店街」、「リスポ横町周辺」、「アクアマリンパーク漁港」、「小名川・古湊」の集約された6つのエリアの区分を行い、「いつ・どこで・だれが」などの整備主体の選考と、年次計画等を取り入れることで、具体的な計画へと練り上げて行くこととなった。

 

更に、市民会議や市民団体、地域市民等が関りを持つことでのソフト展開として「アクションプログラム」を提案し、「できることから進めて行きたい・・・」という意向が色濃く出された、市民参加のまちづくりの一歩を示すに相応しい新しい形のまちづくり計画へと練り上げた。このようなことから、グランドデザインから基本計画づくりのステップへと至ったが、今回まとめた計画を市民参加型のまちづくりの素材・ツールとして利用し、広く市民へまちづくりの意識喚起と整備等への理解を求めて行く作業を続けて行きたいと考えている。


◆ 基本計画のイメージ

 

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◆ 基本計画づくり委員会

 

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◆ 計画づくりイメージ

 

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グランドデザイン概要 INDEX

 

はじめに・・・『市民参加のまちづくり第2章』
まちづくり基本計画の構成
まちづくりの基本コンセプト
アクションプログラムの実現へ向けて・・・
パートナーシップと活動の協力